当日まで元気だった高齢男性の事例
#支援事例
2021.08.16
Aさんは80代ですがとてもお元気で、団地のゲートボールサークルの友人たちと毎日楽しくお過ごしでした。
元気で生活をしていましたので、介護認定を受けることはなく、一人で家事をやり、家の中もきれいにしていました。
倒れた日は、朝から友人たちとゲートボールを楽しんでいました。午前の早い時間に終了して「また明日」と別れたそうですが、翌日は連絡もなく顔を見せませんでした。これまで無連絡で休みということはなかったので、心配した友人が夕方に自宅を訪ねて、倒れているAさんを発見しました。
すぐに救急車で運ばれ、そのまま入院となりました。
倒れた原因は熱中症による意識障害でした。8月半ばの暑い時期でしたので、室内にいても熱中症にかかってしまいます。要注意です。さらに、倒れてから見つかるまでの1日半の間、床に触れていた部分はひどい褥瘡(とこずれ)になっていました。体重がかかるところでは20時間程で褥瘡になってしまうそうです。これは、本人もとても辛そうでした。
入院中、ソーシャルワーカーさんが身寄りのいないAさんの身の回りのことや、治療費の支払いなどを心配して、地域包括に連絡をしました。Aさんとも相談をして、地域包括の方とソーシャルワーカーさんとで自宅に行き、健康保険証やその他の治療に係わる書類を回収し、大事なものがある場所を確認してきたそうです。
助け合い村にソーシャルワーカーさんから連絡が入ったのは、その後でした。
身の回りのことやお金の管理、その後のことについての相談でした。
ご本人とお会いして、意思疎通が可能でしたので、急いで今後のことについて相談し、ソーシャルワーカーさん、看護師さん立ち会いのもとに、助け合い村といくつかの契約を結びました。
Aさんは、奥様を6年前に亡くされ、子どもはいませんでした。兄弟とは疎遠な状態で連絡先もわからない状態でした。
身寄りがいませんでしたので、私たちは日常の金銭管理を行うための事務委任契約と、亡くなった後の手続き関係を行う死後事務委任契約を結びました。
Aさんは「こんなことやってくれるところがあったんだね。大変な仕事だね」とおっしゃっていました。
Aさんは、治療に専念されていましたが、間もなく肺炎で亡くなりました。契約を結んでから、わずか1ケ月半のことでした。
私たちは、死後事務委任契約を結んでいたため、お葬式や亡くなった後の様々な手続き、病院関係などの各支払い、自宅の片付けと家主への引き渡しなどを行うことができました。
自宅の後片付けをするためには、死後事務委任契約を結ぶとともに、死後自宅にある家財一式を助け合い村に寄付するという、死因贈与契約(「私が死んだときは、助け合い村に家財一式を贈与する」という内容の契約)を一緒に結んでもらいます。
これは、どのようなものであっても、亡くなった方の財産には違いないので、勝手に処分することはできませんし、後日、相続人が現れた場合は、トラブルになることが考えられます。そのためにこのような手続きを取ります。
後日、病院のソーシャルワーカーさんとお話をする機会がありました。「助け合い村との契約はぎりぎりだった。契約できていなかったらご遺体の対応、病院他の支払い、ご自宅のスムーズな引き渡しは難しかっただろう」と話されていました。
元気でお過ごしの場合でも、亡くなった後のことを頼める身寄りがいないご高齢の方の場合は、万が一の時の準備をしておくことが大事です。