遺言書作成が間に合わなかった事例
#支援事例 #相続遺言
2022.03.07
とてもお元気だったのに、人の命はわかりません。残念なことですが遺言作成が間に合わなかった事例を報告いたします。
Aさんは78歳です。
息子さんと娘さんが関西にいますが、Aさんは住み慣れた埼玉県での生活を選択しました。
遺言を書こうと思ったきっかけは、お子さん2人に平等に財産を分けることに疑問を持ったことでした。
交通事故や病気をして、4年くらいの間に入退院を繰り返し、老健にリハビリのための入所もしました。そのたびに心配して会いに来てくれたのは娘さんでした。
残念ながら、息子さんとは長期間連絡は取れていない状況でした。
そのため、Aさんは娘さんに財産の配分を多くしたいと考えたのです。
また、お子さんたちが遠方にお住いのため、ご自分が亡くなった場合に、銀行などの相続の手続きのため、埼玉まで来るのは大変なので、遺言執行者を決めて、子供たちには面倒をかけたくないと思ったのも理由の一つでした。
Aさんは、トラブルを避けるために公正証書遺言を作成することに決めました。
遺言を書くと決めるまでには様々な相談がありました。
息子さんとは何年もあっていないとはいえ、子どもに不平等に配分することに迷いもありました。また、ご自身が亡くなった場合はどういう手続きが必要なのか、死亡保険の受取人は誰だったか、考えたり、調べたりしているうちに、Aさんは身体のあちこちが痛くなり、体調が悪くなっていきました。
病院で検査を受けた結果、病気が見つかり、入院することになりました。
あわててお子さんたち2人の配分内容を決めて、遺言執行者は、これまで財産管理をしていた関係で助け合い村が引き受けることになりました。
公証センタ-に相談をして、病院に公証人に来てもらい公正証書遺言を作成することになりました。
Aさんの病気は、自覚症状がないままに進行してしまう病気でした。入院したころは、食べたいものを差し入れていましたが、そのうちに食べられなくなり、ある日体調が急変しそのまま帰らぬ人となりました。
遺言案が確定して、公証人と作成の日程調整をしている最中で、本当にあと少しという時にお亡くなりになったのです。
遺言作成作業は、遺産分割の配分を考えるにあたり、通帳以外の財産(有価証券、生命保険の受取人や金額、不動産の価値等)を確認する必要があります。
他にも、今回はありませんでしたが寄付をする場合は、寄付先の調査も必要です。(公的機関に寄付の場合でも現金でしか受け取れない等、制約があったりします。)また、相続人が行方不明、認知症の方、海外に移住している等々でも遺言執行実務が困難になります。
このように、人によっては
作成まで何ヶ月もかかる場合もあります。
遺言を書くという事に対して、内容に迷いもあるかと思います。
しかし、早すぎるという事はありません。
変更したくなれば書き換えもできます。
余裕をもって取り組みましょう。 助け合い村では、遺言作成のご相談を受けていますので、遠慮なくご相談ください。