知的障害のある子の後見制度利用
#後見制度 #法律
2025.02.03
後見制度は2000年に介護制度と同時に開始されました。4月で25年、四半世紀が経過しようとしています。
制度開始後、申立件数は年々増加し、2012年におよそ3万5千件に達しました。その後はほぼ横這い推移となりましたが、令和に入り微増し、2023年の申立件数はおよそ4万1千件となっています。
全体のうち後見が70%、保佐補助が27%と法定後見の利用が実に97%弱を占めています。一方で任意後見の利用は2%程度となっています。
裁判所に申立を行い、後見人を選任してもらう法定後見と異なり、任意後見では事前の契約により後見人となる人を決めることができます。

後見制度は知的障害により判断能力のない人も対象です。
知的障害のある子の親で、「将来、親が亡くなった際に備えて後見人を決めておきたい」と考える方は少なくありません。知的障害のある子が18歳未満であれば、親が子の法定代理人として任意後見契約を結ぶことが可能です。しかし、18歳以上となれば、親は法定代理人ではなくなり、子が任意後見契約を結ぶ手立てはなくなります。
通常、親が高齢になってきた段階での相談がほとんどのため、任意後見が利用できるケースは非常に稀です。現時点では、「誰がなるかわからない」法定後見の申立をする他ありません。
法律上、成人した知的障害のある子について、親による契約の代理や財産の管理等は認められていません。しかし、親が代理して行っている場合がほとんどで、慣習となっているのが実状です。
成人した知的障害のある子の任意後見契約を、親が代理人として締結できるようになれば、任意後見の利便性もあがると考えられます。
知的障害のある子の親の不安が少しは払しょくされるよう、今後の法改正に期待したいところです。
