戸籍に振り仮名
#法律 #生活 #行政
2025.06.09
2025年5月26日から、戸籍に氏名の振り仮名が登録されるようになりました。
今までは、戸籍や住民票に振り仮名を記載する規定はありませんでした。一部の自治体で、住民票に振り仮名が記載されている例はありましたが、戸籍には記載はありませんでした。出生届時には、記入を求められますが任意記入でしたので、出生届時の名の読み方はほぼ自由にできました。そのため、キラキラネームが問題になったこともありました。今後は、出生届時に記入した振り仮名が認められないこともあります。また、すでに戸籍のある人については、届け出が必要な方もおられます。しかし国民には、この法律が十分周知されていないのが現状です。
※参考:法務省「戸籍にフリガナが記載されます」
なぜ、導入を急ぐのでしょうか
マイナンバー導入時の重点項目に、「災害時などの給付金の迅速な支給」が挙げられていました。しかし、マイナンバーの情報には、振り仮名がないため、カナで管理されている銀行口座との連携がうまくいかず(他人の口座に紐づけられるなどの混乱が発生)運用に支障が出たことと、年金振込口座などを本人の同意なしでマイナンバーに紐づけする「公金受取口座登録の特例制度」の導入予定があることもあげられます。
振り仮名で思い出すのが、「消えた年金記録問題」です。納めたはずの保険料が年金に反映されなかった事案が5000万件も発生しました。この一因として、年金記録のコンピューター運用に伴う氏名の振り仮名の不一致が挙げられています。
銀行のデーターのやり取りは、半角カナ名が使われています。銀行口座と戸籍の振り仮名に相違がある場合は口座の特定ができません。「消えた年金記録問題」と同様のことが起きてしまうことになりかねません。
導入スケジュール
◇令和7年5月26日 法律の施行、通知書の送付
5月26日以降、「戸籍に記載される振り仮名の通知書」が本籍地の市区町村から戸籍筆頭者に送られてきます。この「通知書」には戸籍に記載予定の振り仮名が印字されています。令和8年5月25日までに届け出しない場合には、「通知書」の振り仮名が自動的に登録されます。通知内容に誤りがないか確認しましょう。「通知書」に誤りがない場合は、届け出は不要です。届け出をしなかった場合、登録された振り仮名の通知はされません。戸籍を取り寄せてみたら違っていたということも起こります。
戸籍の振り仮名と銀行などへの登録の振り仮名が違っている場合などは本人と認識されない恐れもありますので、銀行口座と通知書の振り仮名が異なっていないかを確認し(戸籍の振り仮名が「スガワラ チヅコ」で銀行の振り仮名が 「スガハラ チズコ」となっているような場合)、正しい方の振り仮名に一致させましょう。届け出をした方については、順次戸籍に振り仮名が記載されます。
◇令和8年5月25日 届け出受付終了
◇令和8年5月26日
全戸籍への振り仮名記載の開始
届け出をしていない人も含め、すべての戸籍に振り仮名が印字されます。届け出を忘れていた場合、一回に限り家庭裁判所の許可を受けることなく変更が可能です。(間違った振り仮名の届け出をした場合は、家庭裁判所の許可が必要となります)
詳しくは上尾市Webサイト「戸籍に氏名の振り仮名が記載されます」もご参照ください。
戸籍の振り仮名の届出に関連する詐欺には十分にご注意ください
届出に当たって、法務省や市区町村に金銭を支払うよう要求することはありません。届出に手数料はかかりません。届出しなくても罰則はありません。今後、新設された戸籍の振り仮名制度を悪用し、法務省や市区町村の職員を騙った者等による詐欺の発生が懸念されますのでご注意ください。
※参考
警視庁特殊詐欺対策ページ「戸籍の振り仮名制度を悪用した詐欺に注意!」
消費者庁「戸籍の振り仮名の届出に関連する詐欺にご注意ください」