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高齢者居住区は必要か?

アメリカのアリゾナ州に「サンシティ」という街があります。

サンシティはアメリカのデル・ウェブという不動産会社が作った高齢者居住地区で、居住するための条件として55歳以上という制限が設けられています。

街は円状の作りになっていて、どの家からも1マイル(訳1.6km)以内で「センター」と呼ばれる中心地に行くことができるようになっています。

「センター」には医療施設、ショッピングモール、銀行、郵便局、娯楽施設など生活に必要な施設が備わっています。

2017年時点での世帯数はおよそ2万9千世帯、居住者の平均年齢は73歳となっています。

日本でも、以前からこういった高齢者居住地区の議論がなされていますが、まだ「サンシティ」のような居住地区はありません。

日本では「2025年問題」に代表されるように、社会全体の高齢化で要介護者が増加し、それによる介護人材の不足、財政難など、介護資源の不足にどのように対応するかが喫緊の課題とされています。

国も要介護者を減らす取り組みや、外国人の介護人材の受け入れなどを政策として行っていますが、それだけでは介護資源の不足を解消できないという見方が一般的です。

また、高齢者が日常生活を送るための移動手段確保などの問題もあり、現状のままでの広義の意味での介護資源不足はかなり困難な状態です。

このような介護資源不足を解消するために重要な課題のひとつとして、介護資源の活用を効率化することが挙げられます。

大規模な高齢者居住地区ができると、被介護者宅への移動時間などの短縮につながります。

つまり、その他の地区と比較して、介護者一人あたりの介護効率はあがり、介護人材不足解消の観点において有効です。

加えてまとまった利用者数が望めることで、配食サービスや、定期的な訪問による見守りなどを行う場合であっても、コスト減が見込めるため、利用者の負担を減らしながらより質の高いサービスを提供できようになるといった利点もあげられます。

また、医療施設や銀行、ショッピングモールのような生活に必要な施設がごく近い距離にあれば、高齢者の移動も楽になりますし、多数の利用者があれば公共交通網を整備しやすくなり、移動手段確保の問題も一部解消されるものと考えられます。

このように高齢者居住地区をつくることは、介護資源の効率的な活用という面においては有効であると考えられますが、問題点はないのでしょうか。

冒頭で紹介した「サンシティ」では、広大な居住区内に学校や若年層向けの施設はなく、ほぼ高齢者のコミュニティーだけが存在します。

その是非を問うわけではありませんが、様々な世代とのコミュニケーションが暮らしを充実させることにつながることもあります。

今後、日本でも高齢者居住地区がつくられる可能性は十分にありえます。

その時は、社会的な問題解決のためだけではなく、居住者の充実した暮らしを最優先に考える必要があるのではないでしょうか。

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