合理的配慮の提供が義務化されました
#法律
2024.08.26
車椅子のため段差や急な坂道の移動が困難だったり、視覚や聴覚に障害があるためコミュニケーションが取りづらいなど、障害を理由として差別されることをなくしていくために障害者差別解消法(正式には「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」)が2016年4月1日に施行されています。
この法律は障害の有無によって隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目的としています。
<差別を解消するために>
①不当な差別的取り扱いの禁止(法8条1項)
障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
②合理的配慮の提供(法8条2項)
障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
上記のこと等が定められています。②の合的配慮の提供は2024年4月より、会社やお店などの事業者に対しても「義務化」されました。
残念ながらまだ認知度は低く、[カウネット・身近な多様性についての意識調査2024年2月26日発表]のアンケートでは、合理的配慮の提供の義務化を知っている 9.4%、大体知っている 17.3%にとどまっています。聞いたことはあるがあまり知らないと答えた割合は47.4%となっています。
差別をしてはいけないとはわかっていても、合理的配慮の提供とはどんなものなのか具体的なイメージができる人はまだ少ない状態です。
例えば、電話利用が困難な障がい者から、電話以外の手段で各種手続きが行えるよう対応を求められた場合、自社マニュアル上、該当手続きは利用者本人による電話のみで手続き可能とすることとされているという理由から、メールや電話リレーサービスを介した電話等の代替措置を検討せずに対応を断ることは合理的配慮の提供義務に反する事になります。
申し出に対して事業所側には、事務・事業への影響の程度、費用・負担の程度、実現可能性の程度などを考慮して過度の負担にならない範囲で対応することを求められます。
配慮を受けるためには障害について話すことになるため、心理的に負担に感じることもあるかもしれません。ですが障害は一人ひとり異なり、一見しただけでは障がい者だとわからない場合もあります。どんな対応をしてほしいのか、事業者側からはどんな対応なら可能なのか、お互いに配慮しながら話し合うことが大切です。
※1障がい者とは障害者手帳を持っている人だけではなく、身体障害のある人、知的障害のある人、精神障害のある人(発達障害や高次脳機能障害)、その他の心や体の働きに障害(難病に起因する障害も含まれる)がある人で、障害や社会の中にあるバリアによって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人すべて(障害児も含まれる)が対象となります。