一人暮らしが難しくなった方の支援事例
#支援事例
2021.04.26
Dさんは、90歳の男性。奥さんは亡くなり子どもさんもいません。訪問介護やデイサービスを利用して、一人暮らしをしていましたが、現金管理がうまくできなくなり、公共料金の支払いや家賃、施設利用料の支払いができなくなっていました。
高齢ですが体力自慢で、亡くなった奥さんの墓参りや、買い物へは、徒歩や自転車でよく出かけていたそうです。
Dさんは、昨年の12月に自宅で倒れ、病院に1ケ月ほど入院しました。
退院して自宅に戻ったものの、以前と同じ生活をすることは困難という判断で、2月の初めに担当のケアマネージャーさんから、現金管理と死後事務について助け合い村へ相談がありました。
お会いすると、Dさんは現金管理に不安を持っていたのか、比較的スムーズに任せていただくことになりました。
死後事務については、この時点で生活保護の認定がなされていましたので特に必要はないと思われました(葬祭扶助が利用できるため)が、「奥さんの墓に一緒に葬ってほしい」という要望があり、市の方にこのことを通知するという内容の死後事務委任契約を結びました。
事務委任契約を結んで現金管理を開始してからは、毎週木曜日(デイサービスがない日)に、お金がない、通帳がないという電話が入るようになりました。
大きな金をお渡しすると紛失してしまうので、週に1回は現金を持参してこまめにお渡ししていました。また、通帳はDさんからお預かりしていたのですが、銀行に行って通帳をなくしたと話をされたため、口座が凍結されるということが起きました。
食事にも不安がありました。
木曜日を除いた平日は施設で昼食をとっていたのですが、その他の食事は、お米はご自分で炊いていましたが、ご飯に醤油をかけて食べているとか、おかずは卵だけというような感じでした。栄養面でも問題でしたので、コンビニで弁当など買って食べるようにお話ししましたが、できていなかったようです。冷蔵庫はほとんどからの状態でした。
5月に入ると暑さが厳しくなり、熱中症の心配が高まりました。
築80年以上住まいは、隙間だらけでトタン葺きでした。エアコンは設置されておらず、扇風機だけで今まで暮らしてきたということです。大家さんは、エアコンの設置を勧めていましたが、かたくなに断っていたようです。
熱中症になると命の危険もありますので、施設への入所を勧めることにしました。
さっそく助け合い村で施設を探し紹介しましたが、Dさんは「50年以上もここに住んでいるのでどこにもいかない」の一点張りでした。
主治医や大家さんにも、一人暮らしは難しいからと一緒に説得をしてもらい、何とか施設見学にまではこぎつけたものの、見学をした後も「ちょっと見に行っただけだ」と繰り返すだけでなかなか施設に入るとは言いませんでした。
粘り強く大家さん達と共に説得を続けていると、ある時急に施設入所を了承してくれました。Dさんにも、何か思うところがあったのでしょう。
当初は7月の初めに引っ越しを計画しましたが、生活保護の関係で7月下旬まで遅れてしまいました。
引っ越しが完了してすぐに8月になり、長かった梅雨が明けるとともに急激に暑くなりました。
ぎりぎりのタイミングでしたが、無事引っ越しができてよかったと思っています。
Dさんは今、本人も安心できる環境の中で穏やかに暮らしているようです。