お墓の事情 「永代供養」と「墓じまい」について
#葬儀納骨
2021.05.03
最近、お墓をどうするかという事についての相談が増えています。また、実際に助け合い村で死後事務を行った後、残されたお墓の問題が深刻になってきています。
人生の終末期は、誰にでも訪れます。これまでの考え方では、お墓は子々孫々の継承を前提にしていましたが、少子高齢化が進む中で、お墓のあり方も大きな変化を迎えています。継承する血族や姻族がいなくなった場合、「○○家の墓」は成り立たなくなってしまいます。子供がいても、結婚して名字が変わったので一緒に入れないといった事情も増えています。
あるお寺の住職にお話を聞きました。
お墓に関しての考え方は以前と大きく変わっているそうです。「○○家の墓」の「○○家」という部分を削って「先祖代々」に彫り直したり、好きな言葉を掘って、一族であればだれでも入れるお墓にするケースが増えているそうです。霊苑でもそんなお墓をよく見かけます。墓誌に彫られている名前の名字もそれぞれです。これはとてもいいアイデアだと思います。
お寺も檀家離れが激しく、これまでの考え方や慣習では継続が難しいというお話でした。
お墓の話をする中でよく聞く言葉に、『永代供養』と『墓じまい』があります。
永代供養とはー
お寺にお墓がある場合は、菩提寺に毎年払っている護持費と年間使用料を希望する年数分払います。永代といってもお寺が永久的にお墓を管理してくれるわけではなく、支払われた年数が終われば、お墓をどうするのか同じ問題がおきます。
墓じまいとはー
問題を先送りにせず、現在のお墓に収められている遺骨を合同墓等に改葬して、お墓を更地にしてからお寺へ返すことです。
※遺骨を移す改葬には、同じお寺や霊園内であっても手続きが必要な場合がありますので、よく確認して下さい。
<改葬の大まかな手続き>
- 移転先の墓地から受け入れ証明書を発行してもらう。
- 現在の墓の管理者(住職、霊苑事務所など)から埋葬証明書(納骨証明書)を発行してもらう。寺の場合は離檀を伴う事がある。
- 現在の墓がある市区町村に受け入れ証明書と埋葬証明書を提出し、改葬許可証を発行してもらう。
- 現在の墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去して区画を原状復帰する。
- 改葬許可証を移転先の墓地の管理者に提出する。
- 移転先に遺骨を納める。
NPO法人助け合い村での事例 Aさんの家は江戸時代から続く旧家で、お寺の中にあるお墓も広く、五輪塔もたつ立派なものです。 Aさんは跡取りでしたが、自身に子どもはなく、お墓の管理をできる親族もいませんでした。 また、「一度はその墓に入りたい」というAさんの希望がありましたので、住職とも話し合った結果、今後Aさんが亡くなり納骨された3年後に墓払いをして、寺の合同墓に一族の遺骨とともに改葬してもらうことになりました。 改葬費の支払いも済ませましたので、Aさんはもうお墓の心配をする必要はありません。 |
お墓の問題には様々なケースがありますが、いずれも管理者が亡くなってからでは何もできませんので、管理者が元気なうちにどうするかを検討して準備しておきましょう。