不動産の相続登記義務化
#不動産 #法律 #相続遺言
2021.09.27
2021年4月、相続登記を義務化する法案が国会で可決されました。
2024年度までに施行される予定です。
相続登記とは、不動産の所有者名義を被相続人(故人)から相続人へ変更する手続きをいいます。
なぜ、相続登記が必要なのでしょうか?
昨今、土地所有者不明の土地が増えて、空き家問題や、災害復興の遅れなどの様々な問題が深刻化しています。
平成29年度の国交省の調査では、所有者不明の土地の割合は、全体の22%に達しています。
その原因は、相続登記の未了が66%、所有者が判明していてもその所有者の住所変更登記未了が34%になります。
<背景として>
・現在、相続登記の申請は義務ではなく、申請しなくても不利益を被ることは少ない。
・都市部への人口移動や、人口減少、高齢化で地方を中心に所有意識の希薄化と土地を利用したいというニーズが低下した。
・遺産分割をしないまま相続が繰り返され、土地共有者が増加し把握できない状況が発生している。
このような原因があり、所有者不明土地は今後ますます増加すると言われています。
この所有者不明土地の解消に向けた取り組みのひとつが、相続登記の義務化です。
<相続登記に関する法改正の内容>
・土地所有者に住所変更が発生した場合は、2年以内に変更登記を義務付ける。(正当な理由なく申請を怠った場合は過料の罰則がある)
・住所変更未登記であっても、他の公的機関から取得した情報により登記官が職権的に変更登記する。
・不動産を相続した相続人に対し、その相続を知った日から3年以内に相続登記の申請を義務付ける。(正当な理由なく申請を怠った場合は過料の罰則がある)
・相続等により土地所有権を取得した者が、国庫に帰属させることについて承認を求めることができる制度の創設。(土地を相続したが手放したい、負担が大きく土地の管理が出来ないといった問題への対策)
所有者が不明になっている土地(共有者の1人でも)や、利用・処分できず放置されてきた土地についても下記のような対策が可能になります。
<所有者不明土地に関する法改正>
・所有者不明、または管理不全土地・建物の裁判所の関与による管理制度の創設
・不明共有者がいても、裁判所の関与で共有物の利用、処分が可能になる。
・相続開始から10年間経過しても、遺産分割協議が整わない場合、法定相続割合で分割されることが可能になります。
・ライフラインの導管等、設備設置を円滑化して、土地利用を促進する。
土地の相続や遺贈を受けた場合は、必ず変更登記をしましょう。 相続した土地を利用活用しない場合は、国庫帰属の検討や、土地利用に問題があれば専門機関に相談しましょう。