遺言書と任意後見契約による支援事例
#後見制度 #支援事例 #相続遺言
2021.11.22
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Sさんには一人息子がいましたが、10年ほど前に亡くなり、夫も7年ほど前に亡くなっていました。
息子さんは結婚していませんでしたが、息子さんの死後、付き合っていた女性との間に、子がいることがわかり、死後認知請求により、Sさんに孫ができてしまいました。全く会ったことがない孫でしたが、ただ一人の直系の親族でした。
しかし、このことがSさんにとっては悲劇の始まりでした。
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問題は、Sさんの夫が亡くなった時に起こりました。孫は、代理人を立てて、不動産の半分と現金預金の殆どを相続財産として持って行ってしまいました。
Sさんは傷心のあまり、この後間も無く病にたおれ、床に就くようになってしまいました。
夫が公務員だったため、Sさんにはかなり高額な遺族年金が出たことが救いでした。日々の生活に困るようなことはなく暮らしていくことができましたが、この出来事が悔しかったのでしょう。なんとか少しでもお金を取り戻すことができないかとの相談がありました。しかし、遺産分割協議書が作成されていることから、取り戻すのは無理な状況でした。
お金を取り戻すことが難しいのならば、「私が死んだ後に、あの人達に財産を持っていかれるのは嫌なのでなんとかならないか」と改めて相談を受けました。
「全く渡さないというわけにはいきませんが、少なくすることはできます。そのためには、遺言書を書きましょう。遺言書を書いておけば、孫に渡す分は半分にすることができます。」と遺言書の作成をお勧めしました。
Sさんには認知症の兆候が出始めていたため、今後自宅を売却して施設への入所費を工面するような状況になることも考え、任意後見契約と遺言書を作成することを提案しました。また、夫の親類との折り合いも良くなかったため、夫の墓には入りたくないとのことだったので、死後事務委任契約も作成することとしました。
後見受任者(将来的に後見人になってもらう人)を甥御さんにお願いし、後見後の死後事務もお願いすることとしました。
遺言書には、甥御さんに相続財産の半分を遺贈し残りを孫に相続させることとしました。遺言書を書かないと、全て孫に相続させることとなりますが、書くことで、半分は普段お世話をしていた甥御さんに財産を分けることができます。
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遺言と任意後見契約書を作成して一年ほど経過した頃、Sさんは認知症になってしまいました。
病院での長期入院か、施設に入所するかの状態です。どちらにしても現金が必要で、不動産を売却するしかありませんでした。
ここでまた問題が発生します。
不動産の半分は孫の持ち分です。孫の了解を得なければ売却できません。また、認知症の状態では売却はできません。
そのため、任意後見監督人選任申立を行い、後見を開始しました。監督人には弁護士の選任により、孫との交渉を行なってもらいました。孫には、以前建物の売却を打診した時には、無視される状態でしたが、今回は了解をとることができました。
Sさんは家を売却し、施設への入居金の支払い等ができ、安心して過ごすことができるようになりました。その後、6年間療養病棟で入院生活を過ごし、最後は穏やかに亡くなりました。
遺言書は、ただ書いておけばいいというわけではありません。
今後希望する状況を見据えて作成しなければなりませんし、任意後見契約や死後事務などとあわせて準備しておく必要がある場合もあります。 助け合い村では、個々人の状況に合わせて多くの選択肢をご用意しています。お気軽にご相談ください。
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