遺贈寄付の方法-2-
#相続遺言
2021.12.20
遺贈寄付の方法1に引き続き、遺贈寄付を行うのに不可欠な、遺言書を書くときの注意点をご案内します。
1)遺言書の方式と書き方
遺言書には主に、「公正証書遺言書」「自筆証書遺言書」の2つの方式があります。
遺言書の書き方は法律で定められています。
書き方が違う遺言書は、無効になる場合がありますので注意が必要です。また遺言書の内容によっては遺言通りに財産を分けることができない場合も出てきます。
自筆証書遺言書の場合、法務局での保管制度を利用しますと、法律で決められた形式は確認してくれますが、遺言書の内容までは確認をしてもらえません。不安な場合は、作成料金がかかりますが、公正証書遺言書にしておくと良いでしょう。公正証書の場合は、公証人が遺言者の希望にそった遺贈ができるように作成をしてくれますので、安心です。
2)遺言書を作成する場合のポイント
①遺留分には十分留意する
財産を遺贈する場合には「遺留分」に十分に気をつけなければいけません。遺留分とは、法定相続人(兄弟姉妹除く)に法律で定められている権利です。
相続人がいない場合や、相続人が兄弟姉妹だけの場合には問題は起きませんが、配偶者、子や父母等直系の相続人がいる場合は注意が必要です。
全財産を寄付するとの遺言を書いた場合、遺留分を侵害していますので、相続人が遺留分の返還を請求してきた場合は、相続人に遺留分を渡さなければいけません。寄付先へも迷惑をかけることになり、善意が仇になってしまう事もあります。そのため、遺留分を侵害しない範囲の寄付にとどめることが重要です。また、遺留分は相続人の続柄により異なりますので、注意が必要です。
②包括遺贈は避けて特定遺贈に
包括遺贈とは、「財産のうち2分の1(あるいは全財産)をNPO法人〇〇へ遺贈する。」等、財産を特定せずに遺贈することです。「金2000万円をNPO法人〇〇へ遺贈する。」等、財産を特定して遺贈することを特定遺贈といいます。
包括遺贈にしてしまうと、受遺者(遺贈寄付を受ける者)が相続人と同等の地位を得ることになり、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。
③不動産や株式等は遺贈の対象としない
遺贈寄付を受けている団体や法人は,不動産や株式等(以下、不動産等)の遺贈を受けないところが多数で、自治体などでも同様です。
不動産等の場合、税金の問題や、名義変更や現金化するのに手間がかかります。最悪の場合は相続問題に引き込まれてしまうこともあります。
そのため、不動産等の場合は、現金化をして現金を遺贈するという配慮が必要です。また社会福祉法人は株式の保有には制限があり、株の遺贈には注意が必要です。
④ 遺言執行者を必ず選任する
相続人がいない場合は、寄付を受ける側がすべての相続手続きを行わなければならなくなり、大変な手間と労力が必要となります。特に不動産等を現金化する場合などは、預貯金の相続手続きに比べ手続きが複雑ですので、遺言書で遺言執行者を選任するようにします。
助け合い村では、遺言書の作成相談や遺贈寄付先の相談を行っております。また遺言執行者の引き受けも行っていますのでご相談ください。