「相続」と「遺贈」の違いについて
#相続遺言
2023.04.24
人(被相続人)が亡くなると、その人の財産は誰かに引き継がれます。法定相続人がいれば、相続という方法で財産を移していきますが、特定の団体に寄付をする場合や、相続人でない第三者に財産を譲りたい方もいます。
どうしたいかの違いで「相続」と「遺贈」なります。
Aさんは相続人がいません。老後が不安で仕事を頑張って蓄えもできました。80歳近くになり自分の財産について考え始めました。財産の一部を公私ともに助け合ってきた「おひとり様仲間」の友人に譲りたいと思いました。
この場合は「遺贈」といいます。
〇相続とは、亡くなった方の権利義務を相続人に包括的に承継させることです。法定相続人(配偶者、子、直系尊属、兄弟など)が誰であるかによって、法定相続分が定められています。
〇遺贈とは、遺言によって、法定相続人以外の人に財産を無償で譲ることです。法定相続人に対しても遺贈することはできます。
遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」があります。
◇包括遺贈‥相続財産の割合を指定して遺贈させる方法です。注意しなければならないのは、遺贈の割合によっては包括受遺者(遺産を包括的に遺贈される人)が借金などの債務も承継させられることもあります。
◇特定遺贈‥特定の財産を指定して遺贈させる方法です。包括遺贈と決定的な違いは借金などの債務が承継されない点です。
<税金面での違い>
遺言に相続と書くか遺贈と書くかで税金面では大きな違いが発生します。
〇相続・・基礎控除を超えた分の被相続人の一親等(代襲相続人になった孫を含む)と配偶者は、相続税への2割加算はありません。不動産取得税は発生しません。
〇遺贈・・贈与ではなく相続税が適用されます。基礎控除を超えた分の被相続人の一親等(代襲相続人になった孫を含む)と配偶者以外の者が受け取った場合は、2割加算された相続税となります。不動産取得税は発生します。
<財産を受け取る方が被相続人よりも先に亡くなった場合>
〇相続‥亡くなった相続人の子や孫に権利が受け継がれます。
〇遺贈‥受遺者として指定された方の相続人にその権利が受け継がれることはありません。 その他、不動産の所有権移転登記の方法等にも違いがあります。
大事な財産です。慎重にかつ元気なうちに検討しましょう。