入院時や入所時の身元保証
#住居
2023.05.08
入院や入所の際に、必ずといっていいくらい求められるのが、身元保証人です。
身元保証人などがいないことを理由に、病院の入院や介護保険施設の入所を認めない事例が数多くあります。助け合い村では、多くの方の入院や入所の支援を行なってきましたが、身元保証人なしで入所や入院ができた事例はほとんどありません。なお、身元保証というものに法的な根拠はありません。
日本総研の調査において、「保証人や緊急連絡先を頼める人がいるか」という質問には、約1割の方が、単身男性に限って言えば3割近い方が「いないあるいはわからない」と答えています。健康保険や介護保険という公的制度を利用する病院や介護施設において、身元保証人がいないことで、制度が利用できないことはあってはなりません。
厚生労働省は、身元保証人による利用制限について「不適切」だとして、都道府県に対し適切な指導・監督を行うよう通知をしています。
通知によると、介護保険施設において、身元保証人がいないことを理由に入所を認めないことに対し「介護保険施設に関する法令上は身元保証人等を求める規定はない」と指摘し、また「各施設の基準省令において、正当な理由なくサービスの提供を拒否することはできないこととされており、入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは、サービス提供を拒否する正当な理由には該当しない」という見解を示しています。また、病院の場合、医師法により正当な理由が無い場合、診療を拒否すること自体が違法とされています。
しかし、現状では病院や施設の9割以上が身元保証人を求めています。
いない場合に入院や入所を認めないのは病院で約2割、施設で約3割となっています。(実際には、もっと多くの病院や施設で認めていないと思われます)
また、病院・施設側の身元保証人を求める理由としては、治療費や介護利用料の滞納・不払い(滞納で退院や退所との規定があったとしても、退院や退所させることは困難です。また、保険料の滞納があると、給付制限により保険からも報酬を得られなくなります)は、避けたいことです。また、患者や利用者が死亡した場合において、遺体の引取り手がない場合は、病院や施設では大きな負担となります。このようなことから、身元保証人を求める入所条件については、厚労省が通知を出したとしても、実質的効果は期待できません。
身元保証人なしで入院や入所ができることは、重要な課題です。しかし現実問題としては今後も身元保証を条件とする施設の減少は期待できません。
助け合い村では、法人として身元保証を行う事業も行っています。病院や介護施設のみならず、高齢者向け賃貸住宅の身元保証も行っています。施設や事業者によっては法人による身元保証を受け付けない場合もありますので、利用方法等はご相談ください。