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本のご紹介〈ひとり死〉時代のお葬式

先日、引き取り手がおらず全国の市区町村で管理・保管されている「無縁遺骨」が約6万柱にのぼるというニュースを読みました。配偶者や子どもがおらず身寄りのない人が増えていることが一因と言われています。また、近年は大規模なお葬式ではなく、家族葬や直葬を望む人も増えていますが、これも身寄りのない人の増加による現象と言ってよいでしょう。

〈ひとり死〉が一般的となる時代、私たちにとってお葬式とお墓はどのような意味を持つのでしょうか。

小谷みどり著『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓』によると、身元がわかっており、親族に看取られ、病院や自宅で亡くなったとしても、遺骨の面倒を見られない・見たくないとして引き取り手がいない無縁遺骨も多いのだそうです。著者の指摘どおり、人間関係の希薄化にともない「悲しむ人がいない死」「弔われない死者」が多くなったということなのでしょう。

小谷みどり著

『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓』

そもそも、お葬式は死者のためというよりは、残された者の心の整理のための儀式であり、お墓は残された者が死者を想う心の拠り所として存在するものです。

そうだとすると、弔う人がいないのであれば(本人が望む場合は別として)死者を偲ぶ儀式であるお葬式も偲ぶ場所としてのお墓も不要だと言えます。しかし、たとえそうだとしても、人が亡くなったときに誰がその後の面倒を見るのかという問題は残ります。

本書によると、この問題については諸外国でも自治体が様々な支援制度(セーフティネット)を整えているようで、例えば台北では遺体の搬送や納棺、遺体の安置、葬儀の施行までの費用から火葬費まで、すべてが市民からの寄付で賄われており、遺族の負担は一切ないそうです。また、スウェーデンではいわゆる葬式税のようなものが導入されており、お葬式や納骨費用は国が負担することになっています。

このような制度は、日本でも神奈川県の横須賀市や大和市等の自治体で、エンディングプラン・サポート事業などとして実施されているとのことですが、今後さらに多くの自治体に広がっていくことを期待したいものです。

今現在家族がいる方でも、この先ずっとそうであるという保証はありません。

身寄りがなくとも安心して死んでいけると思うことができて初めて、私たちは安心して生きていけるのではないでしょうか。

また、本書では〈ひとり死〉にまつわる話題の他に、諸外国の遺体の埋葬方法についても紹介されているのですが、環境に配慮した埋葬方法として、遺体を液体窒素で凍結乾燥し粉砕する、遺体のコンポスト化(肥料化)、アルカリ加水分解で液化し骨にする、などの方法が実施されているとのことです。

海外では「火葬より温室効果ガスの排出量が少ない(※18分の1に抑えられる)」エコな遺体処理として注目を集めており、日本でも今後法整備が進めば選択肢の一つとなる可能性も否定できません。多様な価値観が認められる社会においては、弔われ方や遺体の扱われ方も多様化していくはずです。

ただし、生前にどれだけ死後のことを考え入念に準備しておいたとしても、自分では絶対に自分の死後の面倒を見ることはできません。〈ひとり死〉の場合、死後のことを担ってくれるのは自治体(もしくは行政)だけということもあるでしょう。

本人がそれでいいのであれば構いませんが、ちゃんと希望通りに弔われたいと思うのであれば、生きているうちに周囲と人間関係を築いておくことが重要であると著者は説きます。自分の死後を託す相手は血縁関係にない人でもよく、知人でも問題ありません。また、死後委託のサービスを利用するのもひとつの方法です。

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