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『コーヒーはぼくの杖〜発達障害の少年が家族と見つけた大切なもの』のご紹介

コーヒーはぼくの杖

~発達障害の少年が家族と見つけた大切なもの

発達障害という言葉を聞いたとき、皆さんはどのような症状を思い浮かべるでしょうか。

本書の主人公である岩野響さんは、アスペルガー症候群という発達障害を抱えています。はっきりと診断されたのは小学3年生のときですが、幼い頃からこだわりが強かったり、定型発達の子にはできることができなかったりしていたそうで、たとえば保育園では歌や友達の名前がまったく覚えられない、洗剤の空き容器を並べる遊びを5時間でも6時間でもやり続け、外出をしたときに洗剤の空き容器が手元にないとパニックを起こして泣きやまないといったようなことがあったそうです。

他の子とは違った特性を持っていても小学校まではなんとか大丈夫だった響さんですが、中学生活には馴染むことができず、過度のストレスから中学1年の2学期から学校に行くことをやめてしまいます。学校に行かないのはいいとしてこれからどうやって生きていけばいいのか、と響さんのご両親は心配し、自分たちがやっている染色の仕事や家事などを手伝わせますが、発達障害のある響さんはそれらの作業をうまくこなすことができません。本書ではそんな響さんが自身の鋭い嗅覚と味覚を活かしてコーヒー焙煎士となるまでの過程が、響さん、響さんのお母さん、響さんのお父さんそれぞれの視点と回想によって描かれていきます。

響さんの主治医は「脚が悪ければ杖や車いすを使いますね? 耳が悪ければ手話を学んだり、補聴器を使ったりします。そういう『わかりやすい障害』と同じように、外見からは『一見わからない障害』もあるんですよ」と説明していますが、発達障害や精神障害といった外見からはわかりにくい障害は、他人から理解してもらうのが難しく、問題が解決しないのは本人の努力が足りないからだと判断されてしまうケースも多いようです。

響さんのお父さんは「アスペルガーという、いわば『内面』の障害は、家族以外の人にはあまりにも伝わりづらく、理解されがたい」と言い、かつ「私たち夫婦ですら『怠けているだけなんじゃないのか?』と考えることがあった」と語っています。

本書で特に印象深かったのは、響さんが発達障害であることをご両親が本人に伝えたときのエピソードと、自分のコーヒー店を開き地元で話題となった響さんが発達障害を抱えているという事実を新聞で公表するかどうかについて新聞記者と家族とで話し合いをする場面です。

自分の特性を認め<コーヒー>という杖を見つけた響さんのお話は、発達障害を抱える当事者やそのご家族にとっても参考になるかと思います。

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