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『死なないノウハウ』のご紹介

『死なないノウハウ』のご紹介

雨宮処凛著『死なないノウハウ』のご紹介

情報と知識の有無が生死を分ける、生死とは言わないまでも必要な情報を知らないために不利益を被り、知識がないが故に正当な権利を行使することができないという事態は皆さんも経験あることかと思います。たとえば役所に行って「不親切だなあ」と感じることはあれど、「すぐに問題が解決した。行って良かった」と思うことはあまりないのではないでしょうか。制度はあるのに教えてくれない、手続きや申請が複雑でわかりにくい、そして権利の主張をわがままとみなすような社会システムを見ていると、このシステムは「自己責任の名の下に困っている人を見捨てることを良しとする」ように作られているのではないかとすら思います。その現状に疑問と怒りを抱いた作家で反貧困ネットワーク世話人の雨宮処凛氏により、誰もが最低限一人で生きていけるだけの知識を集約しようと書かれたのが『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』です。本の構成は次のようになっています。

まえがき
序章  私の経験
第1章 お金 ――社会福祉士・横山北斗さんに聞く
第2章 仕事 ――プレカリアートユニオン執行委員長・清水直子さんに聞く
第3章 親の介護 ――「みんなの介護」編集部/一般社団法人LMN・遠藤英樹さんに聞く
第4章 健康 ――CSRプロジェクト・桜井なおみさんに聞く
第5章 トラブル ――相談室ぱどる・原昌平さんに聞く
第6章 死 ――一般社団法人LMN・遠藤英樹さん/相談室ぱどる・原昌平さんに聞く
あとがき

作家の島田雅彦氏は自身のインターネット番組「エアレボリューション」で雨宮処凛氏をゲストに迎え本書を紹介した際(2024/3/7放送回)、「聖書と同じように一家に一冊あっていい」「目次を見て必要なページを引くというような使い方ができるハンドブック」と言っていますが、確かに次のような項目をさっと引けるのは便利と言えます。


  • ブラックリスト入りしても契約できる携帯
  • 難病と診断されたら
  • DV男や毒親に居場所がバレたくない
  • 会社が給料を払ってくれない
  • 業務外の病気や怪我で働けなくなったら
  • 介護にまつわる基礎知識
  • フリーランスががんになったら
  • 相続でもめたくない
  • 警察を動かすのは「告訴」
  • 高齢で賃貸物件が借りられない
  • 自分の死後のスマホやパソコン

等々

これだけ見るとただのハウツー本に思えるかもしれませんが、本書は雨宮処凛氏の経験や思想が展開されるノンフィクションやエッセイとしての側面もあるため、社会問題に関心のある人であれば誰が読んでも興味深く読むことができます。本書のタイトルは『死なないノウハウ』となっていますが、『生きさせろ!難民化する若者たち』の著者でもある雨宮処凛氏が書いた本であることを考えると、実際は『生き抜くノウハウ』『殺されないノウハウ』と呼ぶのが正しいのではないかと個人的には思います。

そして、“しかし、知識があるのは主に生活困窮についてのみ。生きていれば、親の介護や自身の病気、ご近所や友人とのトラブル、果ては終活についての情報も必要だ。というか、情報がどれほど人を救うか、生死を分けるかを痛感している身として、今から不安要素をすべて潰したい。ということで、さらなる「無敵」を目指すために書いた本が本書である。”(p.42)という思いを持つ人が存在する事実に、私たちの心は少し明るくなるのではないでしょうか。

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