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家族の絆

Yさんと助け合い村との関係は、Yさんの亡くなった奥様の相続依頼をうけたことが始まりでした。 

Yさんは難病を患っていたため、ご自身で相続手続きができないことから、助け合い村に依頼がありました。奥様の相続の手続きの終了後、「一人暮らしは不安なので、現在住んでいる持ち家を売却し、施設に入居したいので支援をしてほしい」と、Yさんから依頼があり、身元保証契約と死後事務委任契約を結びました。契約時には、家族・親族の連絡先を確認するのが普通ですが、お子さんが二人いることは教えていただいたのですが、住所や電話番号などの詳細情報は教えていただけませんでした。何回かお会いしているうちに、お子さんは、前妻の子であり、亡くなった奥様と再婚した後は、ほとんど連絡を取っていないということがわかりました。このような関係から、子供たちには迷惑をかけたくないので、「自分が死んでも連絡をしないで欲しい」ということでした。

昨年の秋、Yさんの状況は急速に悪化しました。初夏の頃から、食事が取れなくなり、下半身にむくみが出るようになりました。いくつかの病院にかかり検査を受けましたが、病名ははっきりしませんでした。「難病のためとか」・「精神的に落ち込んでいるから」ではないかなどと言われ、入院を希望しても入院はできず、また施設で具合が悪くなり救急車を呼んでも、病院への移送はしてもらえませんでした。しかし、急速な悪化により、入院し検査を受けたところ、癌が見つかりました。しかし、かなり進行していたため、余命数ヶ月ということでした。

病院からは、治療方針等について家族と話をしたいので子供さんと連絡を取りたいとの依頼がありました。Yさんと話をして、比較的関係の良かったという、次男のKさんの連絡先をお聞きし、連絡をとりました。Kさんは、早急に駆けつけてくれました。Yさんの病状について、医師から話を聞いていただき、助け合い村からも、身元保証契約や死後事務の契約の内容についてお話をしました。Kさんからは、「父とは、再婚以降は一度しか会っていなかった。電話番号も変わっていたので、連絡がつけられなかった」ということでした。

Kさんは、Yさんと面会をして、自分が結婚をしたことや、子が生まれたことなどを話したということです。子の写真をYさんのスマホに転送して、見てもらったということです。Yさんは、毎日孫の写真を見て嬉しそうにしていたと、看護師さんから聞きました。Kさんは、Yさんが施設に移っていたことも知らなかったそうです。「もう少し早く知らせてくれれば、孫を会わせることができたのに」と、残念そうでした。

Yさんは、一ケ月ほどの入院で亡くなりました。葬儀や納骨には、Yさん本人が、「あまり関係が良くなかった」と話をしていた長男の方と、前の奥さんも遠路はるばる参列されました。家族の方と関係を絶っていたのはYさん側からであり、お子さんの側には、そのような意識はあまりなかったように感じました。あまり関係がよくない場合には、葬儀や納骨時にはなかなか来ていただけないものです。Yさんが、わだかまりを捨てて、家族との連絡を取り合っていれば、もう少し穏やかな晩年を過ごせたのではないかと思ってしまいます。

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